雑学

【長さの単位】メートル法とヤード=ポンド法の違い・漢字ではどう書く?

長さには決まりがあります。文字などでもそうですが、こうしましょうという決まりがないと生活しにくいですよね。

人それぞれで1cmや1mという長さが違えば、身長もサバ読み放題で、土地や家などを買うという時に聞いていた話と違うじゃないかと大きさをめぐる喧嘩多発の世界になってしまいます。

長さが大きくなるにつれて単位が変わっていきます。

ところで、この単位を漢字で表すとどんな字になるか…気になりません?

ここでは「長さ」に関することを主に紹介。

メートル法

 

まずメートル法から。

現在世界のほとんどの国でメートル法が採用されています。メートルというと距離のイメージが強いですが、長さのみならず面積や体積などの単位もメートル法で定められています。

輸出入が盛んに行われている現代ですが、昔は物に対する単位がばらばらでした。一定の範囲に住む人々の間でなら、言語と同じように独自のルールで通じ合います。しかし、それぞれのルールで国を越えて物のやりとりをしていたら、換算が大変面倒なことになってしまいます。

時が経つにつれて人々が遠くへと足を伸ばすようになると、やはり単位が違うことが問題となりました。そこで新しく単位を創り統一しましょうということで、18世紀末にフランスにて制定されました。

では1mという長さは何から決められたかというと…?

地球の地図と実際の地球の違いの一つに平面か立体かがありますが、1mは立体の地球をもとに決められました。地球(球体)の側面は丸い線(弧)になっています。その表面をなぞるように、極点から赤道までの弧の線(子午線弧)の距離を1000万分の1にした長さが1m。三角測量(たまに町中で作業服を着た人がカメラの三脚みたいなのを前に立っている)で測定したとのこと。

メートル法は実際にはすぐに人々が使おうとしたわけではありませんでした。フランスでも、最終的にはメートル法以外の表記をしたら罰金、という法律をつくったそうな。現代で言うビットコインとかの仮想通貨みたいな感じですかね。慣れ親しんでいるものから離れるのってなかなか難しい。(ちょっと違う?)

 

単位 読み 漢字表記 備考
1㎜ ミリメートル 訓読みでミリメートル
1㎝ センチメートル 訓読みでセンチメートル
1dm デシメートル 10㎝のこと。訓読みでデシメートル
1m メートル 訓読みでメートル
1dam デカメートル 10mのこと。訓読みでデカメートル
1hm ヘクトメートル 100mのこと。訓読みでヘクトメートル
1㎞ キロメートル 訓読みでキロメートル

 

ヤード=ポンド法

 

次、ヤード=ポンド法。

現在ヤード=ポンド法を使用している国はアメリカが主です。他にも使う国はありますが、そこでもやはりメートル法を取り入れることを考えたり実際に使ったりしているようです。アメリカでも公式の単位としてはメートル法となっています。しかし、アメリカがメートル法を取り入れてから100年ほど経ちますが、実際に多く使われているのはヤード=ポンド法のようです。ニューヨーク州ではメートル法だけで商品のラベルの表記をするのはNGとのこと。

ヤード=ポンドという呼び方は日本で使われる言葉です。ヤード=ポンド法といっても、帝国単位と米国慣用単位の二つがあります。

もともとイギリス単位というものがあり、帝国単位とアメリカで広く使われる米国慣用単位はこれがもとになっています。

イギリスによって統治されていた北米が1776年に独立を宣言し、数年の戦争を経て独立を果たしましたね。アメリカ独立宣言とアメリカ独立戦争です。

イギリスで1826年を境に「イギリス単位」の定義が見直された後、「帝国単位」と名前が変わりました。その頃すでにイギリスの統治から外れていたアメリカは、現地で使われる単位には影響が及ばず米国慣用単位として発展しました。このことから、ヤード=ポンド法は二つ存在しているのです。

尚、帝国単位を使用しているところは、イギリスが海を越えて統治していた大英帝国だった頃に比べて圧倒的に少なくなっています。現在はイギリスやカナダなどで使われています。

ヤード=ポンド法の単位は1000年ほど前から存在しますが、単位そのものの長さはほぼ変わらずに今に至るとのこと。

イギリス単位のルーツを辿れば、古代ローマやイングランドに繋がっていき、単位というものは人が生活を築く上で必要不可欠なものであり、歴史も複雑なことがわかります。こうしてみると、同じ単位が世界に広がり使われるのはすごいことなんですね。

 

単位 読み 漢字表記 備考
1in インチ 36分の1ヤード。2.54cm
1ft フィート 3分の1ヤード。30.48cm
1yd ヤード 碼・嗎 嗎(マ)は現代中国語の疑問や反語の文末につく漢字。0.9144m(約90cm)
1chain チェーン 無し 22ヤード。20.12m
1mile マイル 1760ヤード。1.609km(約1.6キロメートル)

 

余談の尺貫法

 

最後に日本の尺貫法。これは中国の尺斤法(市制)がもとになっています。中国では自国の単位を市制、メートル法を公制、ヤード=ポンド法を英制と言うそうです。

日本がメートル法を取り入れたのは1885年。その時は「日本」ではなく「大日本帝国」でした。始めは当時の日本で使われていた尺貫法との併用で取り入れられました。

また、センチメートルやキログラムなど聞きなれない単位であるメートル法を、より馴染むようにと工夫がされました。漢字を当てたり、なんと漢字を創ったりもしたそうです。それが先に紹介した漢字たちだったんですね。しかし、フランスと同じように日本の人々は未知の「めーとる法」を使おうとはせず、尺貫法を法律で廃止を経て使用禁止してからようやく広く使われるようになりました。

メートル法と尺貫法を併用する法律が施行されてから、メートル法のみにすることを義務付けるまでのその年月、実に60年。現代の人の一生のほとんどが過ぎちゃいますね。

 

単位 読み 備考
1毛 もう 10分の1厘。0.0303㎜
1厘 りん 10分の1分。0.303㎜
1分 10分の1寸。0.303cm
1寸 すん 10分の1尺。3.03cm
1尺 しゃく 0.303m
1丈 じょう 10尺。3.03m
1間 けん 6尺。1.818m
1町 ちょう 60間。109.09m
1里 36町。3.9273km

 

最後に

 

普段何気なく使っているセンチやメートル。そもそも、1ミリの長さや1秒などの概念は人間が創り出したもの。

事の始まりを知らない身からすれば、なぜ1ミリは1ミリなのかと考えだすと常識が常識ではなくなったような怖さや違和感が生まれますが、昔の人達が頑張ってきた軌跡が残されているんだと考えると世界を見る目が変わる…かもしれませんね?

メートル法は、物の長さや質量を海を越えても共通で使えるようにと創られた単位。

人々はかつて一定の範囲内で言語と同じくそれぞれのルールで過ごしていた。しかし、今では地球全体が共に生きていく時代です。その先駆けの一つにメートル法があり、今後も使われ続けていくのです。