禅語

禅語で心を紐解く「和敬清寂」の意味

現代はとても便利になりました。

離れた人ともすぐに連絡が取れ会話ができたり、沢山の情報をネットやテレビで手に入れることができます。

時には、物が増え豊かになった世の中に疲れてしまうこともあるでしょう。

日本には四字熟語や諺など、素敵な言葉が受け継がれています。

そしていつもそれらは、人や世の中の真の部分に触れていて、目にした人の心に静寂をもたらしてくれます。

ここで出会う言葉で、あなたの日常に少しでも安らぎを。

和敬清寂の読み方

和敬清寂は「わけいせいじゃく」と読みます。この言葉は四字熟語として漢字検定などに出てくることもあります。

意味

和敬清寂は茶道において大切にされている言葉の一つです。

始めは珠光(じゅこう)が、「謹敬静寂」(きんけいせいじゃく)と言いました。その後、茶道の精神を継承した利休が「和敬清寂」と改めて今日に至ります。

和というと、いかにも日本を表すにはピッタリな字ですが、そこにはどんな意味があるでしょう。

イメージとしては、対立しているのか手を取り合っているのかというと後者です。和という字と清らかさを想像させる字からして、意味は分からずとも心が落ち着いていきます。

和やか、平和、和風…どれも柔らかい印象を受けます。

皆穏やかに手を取り合って暮らすことができればどんなにいいことか、と衝突が絶えない世の中や戦争のこについて考えていると思うかもしれません。

ですが、力による制圧や独占がないことが平和と言えるでしょうか。

きっと、戦争がなくなったり世界各地で貧困の中生きている人々に暮らせていけるだけの物資が行き届き、医療ももっと国境を越えたとしても、また争いは生まれます。

和敬清寂の真の意味は、ここにあります。

例えば色の組み合わせを考える時、部屋の模様替えなどで配置を変える時、あるいは誰と誰をペアにしたら上手くいきそうかと考える時。

組み合わせたものは、互いの存在を打ち消したり片方がもう片方を支配したりするのではなく、良い部分を引き出している状態がベストです。

私たちの力の源である料理でも、「和」は大切ですね。甘みにさらに甘みを足すのではなく、塩味を足すことで新たなバランスのとれた味が生まれます。

また、「和え物」のように、それぞれの材料の良さが調味料も加わることで一皿にまとまるのです。

古今東西様々な料理がありますが、この良さを引き出し合う「和」という感覚は言葉は違えど世界共通だと思います。

「和」を実感できたのなら、自然と周りに「敬」の心が湧きあがります。この関係もまさしく料理と同じく、片方が欠けていては得られない感覚です。

もやもやする心のもつれがなくなれば、すっきりとします。そこに生まれた「清」らかさは自分の世界を落ち着かせ(寂)、「和」にて学んだ心の状態は周りの人をも温める。

この循環が、自分の世界の中から外の世界へと広がっていき波長が合った時こそ、本当の平和が訪れるでしょう。

波長を合わせるためには、一人では成し得ません。そのことを忘れなければ、少しずつより良い方向へと進むのだと思います。