あいさつにはいろいろな言葉があります。朝昼晩、食事時に方言はあるものの全国共通です
「おはよう」や「こんにちは」は日常で使う言葉ですが、もとの言葉は知っていますか?
「おはよう」は褒め言葉

一言にあいさつといっても、いろいろな言葉があります。
朝は「おはようございます」。この中にある「はよう」は「早く」という意味です。
一日の始まりだから、ただ単に早いと言っているのではありません。では何かというと、「早く起きましたね」がもともとの言葉です。これは相手に対する褒め言葉でした。
「こんにちは」の「は」って?
一般的に午前十時頃から、「こんにちは」と言います。

漢字にするとわかるように、「こんにち」は「今日(きょう)」という意味です。しかし、「こんにち」は分かるけれど、「は」とは?
もとの言葉に答えがありました。「こんにちは」は「こんにちは天気がいいですね」などと言うときの頭の部分が残ったということです。
筆者も「は」って何だろ?と小学生の頃から思っていましたが、昔の丁寧な言い方の略と知って納得。最後に「は」って、文章が途切れているみたいでずっと気になってました・・・。
こんばんは?おばんです?

日暮れ時には、「こんばんは」。これも漢字にすると「今晩」となり、意味は今夜となります。こんにちはと似ていて、「今晩は月がきれいですね」と言う時などに使われた言葉が「こんばんは」となりました。
「こんにちは」も「こんばんは」のもとの言葉も、道端で人と会ったらそのまま会話が始まりそうな言葉です。昔は、人々がそれぞれ似たような言葉で相手に話しかけて、立ち話をしていたのだろうという光景が想像できます。
確かに、「こんにちは」と近所の人と挨拶をしてもそこで一旦途切れてしまって、後に続ける言葉に困ったりします。ならいっそうのこと、「今日は暖かいですね」など話しかけると、よりスムーズに話が続くでしょう。
けれど、現代でこれをしたらいきなり話しかけてくるヤツだ、と無礼に思われてしまうかもしれませんね?使いどころを分ける必要がありそうです…。

また、「おばんです」という古めかしく聞こえる言葉がありますが、こちらは方言です。もっと丁寧に言うなら「おばんでございます」となりますが、こんばんは、という意味です。
一部を除く関東より北で使われることが多いです。若い人よりはお年寄りの方が使うことが多いみたいです。関西では京都で使われます。
岡山弁で例えるなら、「すごい」をおじいちゃんおばあちゃんが「ぼっけぇ」「でーれぇ」などと言う感覚と同じでしょう。年齢層で使う方言が違うというのも面白いですね。
茨城県では「おばんかたです」と言うそうですが、この挨拶は言う時間帯が特徴的。夕方の日が沈むまで、だそうです。
旅館のようなあいさつ
今日も一日頑張ったなぁ。明日に向けて寝よう。
一日最後を締めくくる挨拶は、「おやすみなさい」。おやすみなさいも、他の挨拶と同じように短くなっています。

「おやすみなさい」は「ゆっくりとお休みください」という言葉からきています。もとは相手をいたわる言葉でした。
本日もお疲れさまでした、どうぞごゆっくりお休みください。
寝る前にそんな風に言われると、まるで旅館にでも泊まりに来たのかなと思ってしまいます。

今では女性が社会で上の立場になることは珍しくありませんが、男性のほうが優位だった昔の様子が垣間見れます。時代ものの映画やドラマなどでも、女性がせっせと家事をするシーンが映ることがあります。
外から帰って来た夫に対して、夜眠る前に妻がそう言っていたのだろうという想像が浮かびます。宿屋でも、泊まりに来た人に向けて言われていたのかもしれませんね。
最後に
「おはよう」は褒め言葉、「こんにちは」と「こんばんは」は会話の最初の言葉、「おやすみなさい」は今日もお疲れさまでしたと相手をいたわる言葉からきている。
あいさつのもとになった言葉を紹介しましたが、一つでも面白いと思っていただけましたか?

そのようであるならば、今回はここでお別れしましょう。
学校から帰る時や人と別れる時に「さようなら」とあいさつをしますね。
「そのようであるならば」が「さようなら」となりました。