道草を食う

岡山の日本一を誇る鐘〈ベルピール自然公園〉

 

鐘と聞くと、教会や大聖堂など、西洋の町並みが頭に浮かぶ方も多いのではないでしょうか。石畳の道と日本ではお目にかかることのできない建築物が並んだ通り。町の雰囲気に溶け込んだ洒落たデザインの街灯や看板。

日本でも鐘と呼ばれるものはあります。身が引き締まる冬の空気を震わせる深い和鐘の音は、年の終わりと始まりをしみじみと感じさせます。また、お寺が近くにある家では毎日耳にしているのではないでしょうか。筆者が通っていた高校からも、教室の窓を開けて耳を澄ますと聞こえてきたものです。ところで、初詣の時に鐘をついたことはありますか?上手く鳴らせなくて、年始からちょっと残念な気持ちになる方はきっと他にもいる筈…。

ここで紹介するものは洋鐘で、ごーん…の方ではなくてカランカランの方。

鐘の音と絶景を同時に楽しめるオススメな場所があるのです。

 

ベルピール自然公園

 

ベルピール自然公園は、日名倉山(ひなくらやま)の中腹に位置します。住所は岡山県美作市後山。その名の通り、辺りは山、山、そして広い空…。ですがここに訪れる人は少なくありません。緑の中に佇む、日本一のスウィングベルを求めて。

 

 

 

 

駐車場からの景色。細い頼りなさそうな丸太の奥は勾配がきつく、ちょっと散歩に行ってくるとは言い難いです。柵無しでダイレクトに景色を楽しめますが、高い場所が苦手な方はたじろいでしまうかもしれません…。

 

 

 

 

 

家々がこんなに小さく見える標高865メートルほどの場所は、よく風が吹いていました。八月中旬でも涼しかったです。大自然の空気はとてもおいしい。星空をここで見れたらきっと綺麗なんだろう。

 

 

 

 

 

その景色を見下ろす、愛の鐘リュバンベール。ちょっと聞きなれないこの言葉は、フランス語で緑のリボンという意味。

鐘の直径は2メートルと一般的な大人一人がすっぽり入る大きさです。晴れ空と緑に挟まれて、堂々と佇むその姿は思わず見とれます。石を詰めた階段の黒さと、両脇に鐘を抱く建物の白のメリハリも印象的。階段にはハートの形をした石が一つあります。なんとなくそう見えるだけじゃないのかと思っていましたが、ちゃんとハートでした。一段ずつ降りながら端から端まで石を見ていると結構時間が経ってしまいました。

 

 

 

 

 

なので、着いたのが夕方近くということもあり、そんなことをしていたらあっという間に山の影が濃くなってしまい…。残念ながら時間的に鐘の音を耳にすることができませんでしたが、鐘や景色を見るだけでも楽しめました。愛の水と言われる、地元の軟水を使ったコーヒーが飲める展望喫茶もありますが、営業時間外でした…。

階段を上がって鐘の下まで行き、実際に鳴らすこともできます。また、ベルピール自然公園で結婚式を挙げることもできます。自然の山々の中で祝福の鐘を鳴らすというのもまたロマンティックで良いですね。挙式はせずに撮影だけしたいということも可能なようです。式を挙げるにしても撮影をだけをするにしても金銭的にはとても優しく、さらにベルピール自然公園からの景色も踏まえると、これらを検討しているカップルにオススメしたい場所。

山を下りた車道沿いに西洋風の街灯があったり、その道から日名倉山の中腹にポツンと白い粒が見えて、よく目を凝らさないとそれが見つからないというウォーリーを探せ状態になったりと、観光スポットを離れた所でも思い出に残りました。写真に撮ってもすり潰した白ゴマが表面に付いてるのかと思ってしまうほど、リュバンベールの白い建築物が小さく見えるのです。

ベルピール自然公園がある場所は、現在合併して美作市となっていますが、東粟倉村という名前で検索しても名所として出てきます。兵庫県に跨っている後山は霊山で、道仙寺という真言宗醍醐派の寺院が管理をしているそうです。歴史の教科書に出てくる有名な行基や空海、宮本武蔵が修行したとのこと。

後山にはベルピール自然公園の他にも、道仙寺や温泉、養漁場など観光スポットが多々あります。

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