おせちとは
「おせち」という言葉をよく耳にします。「おせち」=「お正月」というイメージですが、そもそも「おせち」とはなんぞや、と思ったことはありますか?
「おせち」は「御節供」(おせちく)からきています。
では、その御節供は何だという話ですが、昔の日本には一年の節目を祝う日、つまり節目が5つありました。その際、神様にお供えしていた料理が「御節供」と言われていました。
なかでも一年の始まりであるお正月を祝う行事が最も大切でした。そのため、お正月の御節供が「おせち」と略されて広まり、親しまれています。
重箱に込められた願い
おせち料理は重箱に入れられています。ただ単に箱を積み重ねるから重箱というわけではありません。「めでたさを重ねる」という意味があり縁起が良いとされます。
松の絵が入っていることが多いですが、松は冬も枯れないため神聖な木とされています。
御節が入った器は、キティちゃんなどキャラクターの型をしたものや、一段だけのものもあります。そういったおせち料理は少量です。
おせち以外の他の食べ物も食べられるという利点はありますが、三段重ねのずっしりとしたおせち料理を大人数で囲むということは減ってきているのかもしれませんね。
余談ですが、参拝でお賽銭を十円玉にする場合、一枚ではなく二枚が良いとされます。二重に縁がありますように、ということです。
食べ物はそれぞれ意味を持っている
おせちと言えば、四角い箱に様々な料理が詰められていて、目にも楽しいです。
赤いえびから黒い豆までありますが、もともとおせちは神様にお供えする料理。使われている食材にも意味が込められています。
えび:腰が曲がるまで長生きできますように。
れんこん:いくつも穴が開いているれんこんは、未来のことを見通せるように。
栗きんとん:漢字で書くと栗金団。お金がたくさんたまるように。
こんぶ:「昆布を食べて喜ぶ」という意味は有名ですが、こんぶと喜ぶだと掛け言葉になっていないじゃないかと思ったことはありますか?昆布は「こぶ」とも読みますから、「よろこんぶ」とダジャレっぽくはなりません。
黒豆:まめに働いて元気に暮らせるように。まめとは、つまり一生懸命にということです。
数の子:子どもや孫の数が増えて、家が栄えるように。数の子はニシンの卵です。北海道や東北地方ではニシンをかど(鰊)と言い、名前の由来でもあります。「かどの子」が変化して「数の子」となったそうです。
田作り:小魚料理の田作りは、作物が豊かに実るように。「田」とあるのに小魚料理。これには理由があります。昔、畑の肥料に粉にした魚をまいていたことから、一見関係がなさそうな魚と作物が結びつけられています。海と大地、自然は繋がっているということですね。
伊達巻:伊達(だて)巻きは巻物のような形をした卵焼きです。知識が増えますようにという意味があります。伊達巻の名前の由来にははっきりとしたものがありませんが、派手な卵焼きという説が有力とのこと。もともと「伊達」とは「人目をひく」「お洒落」などの意味で使われます。着物の「帯」という語のルーツをたどると「伊達」に行き着くそうです。
祝い箸の両端が細くなっているのは、自分が口をつける側とおせち料理をよそう側にあるのではありません。神様と共に食事をするためにあり、片方は人、もう片方は神様が使うためにあります。
まとめ
毎年訪れるお正月。おせちは神様にお供えをする料理からきていて、縁起が良いものをたくさん詰めたご馳走です。
食べ物に意味があり、重箱や箸にも意味がある。特に小魚料理の田作りの意味には歴史を感じます。
意味がないように思えるものも、そこにエピソードがあったり願いが込められていたりします。そういったものに気が付くと、また別の角度から物事が見えてくるようになるかもしれませんね。