雑学

お寿司はいつから作られている?「ネタ」の意味

お寿司・カリフォルニアロール

 

日本のソウルフード、お寿司。海外でも人気を博してお寿司店が次々と建ち、日本人から見たら「え、これがお寿司?」というような独創的なものも作られています。

日本にももちろんお寿司好きはたくさんいて、お寿司屋さんで食べたりスーパーマーケットで入手することもできます。

さて、そんな世界で愛されている食べ物の一つ「お寿司」。色々なネタがありますよね。中には、回転寿司に行くと「それ、どんなの?」と思わず気になってしまうお寿司が流れていることもあります。

 

 

巻き寿司で変わった見た目のものでいうと、カリフォルニアロールが有名ですね。

アメリカの州の名前が入っているから、外国の人が真似て作ったのかとか思っていましたが、どうやら違うようです。

 

 

カリフォルニアロールを考えたのは日本人。当時アメリカにあった寿司店で、現地の人たちが海苔を食べるのは抵抗があるからと剥がして食べていたのを見た寿司職人が、じゃあ内側に海苔をと配慮して作ったそうな。

日本の食を守りつつ機転の利いたアレンジで生まれたのがカリフォルニアロールだったんですね。

コンビニでお馴染みの、海苔に白米がぐるりと包まれたおにぎりも彼らはきっと目を丸くするでしょう。

 

 

昔テレビ番組で、アメリカで道行く人に声をかけて海苔を見せてみようというのがありました。アメリカの人たちは、真っ黒で平たい海苔は、始め見た時は誰もが食べ物だとは思っておらず、それを食べ物だと知ると驚いていました。

確かに言われてみれば、真っ黒でちょっとツヤがあって紙みたいで、はたから見たら「何だこれは?」と思うのも無理ないかもしれないです。

 

 

握った酢飯の上に魚の切り身をのせたお寿司は、かな~り昔からある食べ物です。どのくらい前かというと、千年は越えています。ただし、「お寿司」ではなく「なれずし」というものを食べていました。

 

なれずしとは

 

千年昔、車や自動販売機がなければエアコンもない。当然、冷蔵庫もありませんでした。そうなると困るのが食料の保管方法。

 

 

なれずしは東南アジアより日本へ伝えられたといわれています。魚に塩をすりこんで、ご飯で包んで何か月かそのままにしておくという方法で長持ちさせていました。

弥生時代に稲作が渡来した時にこの方法も伝えられたのでは、という説がありますがはっきりと分かっていないようです。

 

 

なれずしで魚やお肉を保管していた東南アジアや中国南部では、酸っぱくなったそれらをそのまま食べるのではなく、スープなどの材料の一つとして使用していたそうです。

また、長い間発酵させておくことができ、中には百年ものもあります。ですが、それだけの時が経つと流石に液状となってしまいます。百年といわず三十年ものですでにトロトロとなっているというのだから、魚も「ここまで発酵されるとは…」と驚いているでしょう。

 

 

ただ独特の酸味や臭いがあるだけでなく、乳酸菌が多く含まれるなれずしは、お肌にも良いとされます。

 

大活躍の酢

 

ご飯に包まれて時間が経った魚は、乳酸発酵作用によって酸味が強くなり、食べ物を腐らせる雑菌にとっては繁殖しにくい環境となります。

 

 

魚を長持ちさせることはできますが、ご飯は傷んでしまって食べられません。せっかくの貴重な食糧を捨てるのは心が痛みます。(ご飯粒は残さないという教えに矛盾しているではないか…)

そこで活躍するのが酢。酢が作られるようになってから、魚を包んでいたご飯も無駄なく食べられるようになりました。それから、ご飯に酢を混ぜた酢飯の上に魚をのせて食べるようになります。その頃には、魚を酢に漬けたり火を通すなどして長持ちさせていました。

 

 

握りずしができたばかりの江戸時代後期は、煮物(イカやエビ、ハマグリなど)が多くネタとして使われ、生魚の切り身の使われる種類は少なかったそうです。

冷蔵庫ができると、食材の保管も融通が利くようになり、様々な魚の切り身が酢飯にのるようになりました。

 

ホンナレとナマナレ

 

ホンナレ(本なれずし)は漬ける期間が数か月から数年と長く、かびが生えたものがより美味という食べ物。和歌山県の郷土料理です。

ナマナレ(生なれずし)はホンナレよりも漬ける期間は短く、長くても一か月程度です。こちらはご飯も一緒に食べられます。長い間待たなくていいし、ご飯も無駄にしないから一石二鳥ですね。

なれずしの一種、ふなずしは滋賀県の郷土料理です。ふなずしは夏に、なれずしは冬に漬けます。

 

ネタというのはなぜ?

 

お寿司といえば「ネタ」ですが、そもそもネタってなんなの?という話。

「ネタ」を逆さにすると「たね」。たねという言葉には「種」という漢字がありますよね。

 

 

つまり、「一番大切なもの」という意味です。種あってこそ、新たな命が芽吹く。お寿司だって、ネタがなけりゃただの酸っぱいご飯。そういうことです。

 

最後に

 

 

最初に触れたカリフォルニアロールは、見慣れない海苔も一緒に食べてもらおうという工夫から生まれたわけですが…。

なれずしのことを考えると、恵方巻よりもカリフォルニアロールの方が元の姿に近く、それが外国の人にうけているというのも面白い話です。

もしかしたら、寿司歴史を知っていた職人さんだからこそ、海苔は外側に巻くものだという固定概念にとらわれず、柔軟に対応できたのかもしれません。

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