道草を食う

しらみ体験記・かつらの本当の目的は……

さて突然ですが、「しらみ」ってご存知でしょうか。

昔に比べて随分と衛生的に暮らせる現代でも油断ならない、しらみ。

その存在を「なんかめちゃくちゃ頭が痒い!!」という経緯から知る人も少ないかと思います。

しらみとは……↓

 

しらみ(虱)……哺乳動物に寄生するしらみ目の昆虫の総称。宿主の体表から血を吸い、感染症を媒介する。

旺文社国語辞典第十一版より

ちなみに季語は夏なんだそう。嬉しくない季語。

それはさておき、「宿主の体表から血を吸う」ってまるでアレみたいです。

かわいい猫ちゃんワンちゃんを悩ますノミのことみたいですね。

ノミとしらみの違いはまず形にあります。

ノミはミジンコみたいな形で、ぴょんぴょん飛ぶことができます。対してしらみは飛ぶことができませんが、腹が他の体の部位に比べ大きく長細いです。サイズ的にも目視しやすいかと。

しらみはなんと、世界でおよそ千種が確認されているのだそう。

頭皮に寄生するアタマジラミ・服に寄生するコロモジラミ・アンダーヘアに寄生するケジラミ、が主に人に迷惑を被る輩です。

筆者はお風呂で初めて見ました。肩に赤っぽい平らな虫が乗っかっていて、髪にたまたま虫がついてたのかな~程度でスルーしてました(汗)。

なんせ小学生で、しらみなんて現代っ子が知る機会はそうありません。

その後も何回かその虫をお風呂で見て、頭が痒いのがずっと続いていたこともあり親に報告。

まさか頭皮に虫が棲みついていただなんて!

当時はそのことがショックというより、とにかく痒いことから解放されたい一心でしたが…今振り返るとオソロシイ。

しかもただ痒いだけじゃなく、血を吸われた部分がポッコリと腫れてかさぶたができて、それはそれは痛いんです。

しかもあちこちそれができて……頭皮がぼこぼこになって悲しかったのは覚えています。もちろん治りましたけれども。

どこから寄生したのか今では知る術もありませんが、櫛やタオルなどの布類を共有して使うことや、人との髪や顔の接触でうつってしまうそうです。そのため、友達ときゃっきゃと遊ぶ子どもがうつるというケースは珍しくない。つまり、いくら自分が清潔にしていようと寄生されるということ。

運動会でハチマキをしたり、友達の通学帽子を間違えて被ったり、髪を結って遊んだり抱きついたり。考えてみると意外と機会はありそう。

筆者の場合は病院へは行かず、ドラッグストアで専用のシャンプーを使って地道に駆除を…。付属の櫛がノミ取り櫛と似ていて、髪の量多いし濡れているしで使うのに苦労しました。

病院ではそういった特効薬みたいなものが無いそうで、各自で処理をしなければならないのはアナログ。X線とかで一瞬で駆除できればいいのに…。

しらみはお風呂に入っている間や、髪が濡れている時はおとなしくしてくれます。(血を吸われた部分は絶えず痛いですが)。なので、寄生された人にとってはゴールデンタイム。本当にピタッと虫の気配がなくなります。

虫の気配…頭皮をあいつらが這いまわる感覚は本当に筆舌に尽くしがたいです。あえて言うなら、油分がある頭皮をペタペタと裸足ですっごく小さい小人(本当にそうだったらまだロマンがある)が歩き回っている。それもあちこちで。…思い出しただけでサイアクです。

だからといって髪を自然乾燥したら、それはそれで雑菌が繁殖して良くないですから、ちゃんと乾かさないといけません。ドライヤーの熱風がぼこぼこの頭皮に染みて痛いんですが(汗)でも冷風にするとくすぐったい。

昔は髪を刈るという方法もしてたそうですが、小学生の女の子がそうするわけには……。

何より厄介なのが、やつらも虫だから卵を産むわけです。髪の毛の根本に。

寝る前に親に髪を掻き分けまくられ、一つひとつ白い卵を取る。その光景はもはや動物園の猿のよう。

なんて想像しながら、とりあえず早くいなくなって欲しいと思ってました。

普通にシャンプーをしても卵は取れません。敵側からしたら、すぐに水などに流されるようでは子孫を残せませんし。爪で引っ掻けるようにして引っ張らないととれないのです。そして卵が結構固い。

しらみ事件が収まり、その一年後とかに伸びた髪の毛先に卵がひっついていたなんてこともありました。

昔はしらみが当たり前に流行していて、それを予防するためにかつらを被っていたそうです。音楽室に飾ってある音楽家の肖像画の髪がふわふわなのは、頭皮を守るためのかつらを被っているから。(地毛だと思ってた)

しらみは二度とゴメン。今でも頭が痒くなるとあいつらが舞い戻ったのかと……

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