あなたは赤毛と聞いてどんなことを思い浮かべますか?もしかすると、これを読んでいるあなたや、周りに髪を赤に染めている人もいるかもしれませんね。
モンゴメリ著の『赤毛のアン』を思い浮かべる人もいるでしょう。筆者は最近本作品を読み終えてから、そのシリーズを読破したいと思っているところではありますが…。
ここでは本についてではなく、燃えるような赤い髪の人について触れようと思います。それも奇天烈な実験の話。
赤毛は珍しい
生まれつき赤の毛色の人というのは、世界的に見ても1パーセントにも達しないと言われています。周りの人はその稀な毛色を怪しんだり恐れたりしました。
その証拠に、「赤毛」と「悪魔」という言葉が結びつけられたという話もあります。周りと違うというだけで作られたその結びつけは、中世のヨーロッパの画家にも影響をだしたほどです。
宗教の歴史上、キリスト教を信仰する人々からユダヤ人は迫害を受けていました。ユダヤ人はイエス・キリストを救世主として認めないとし、さらにはイエスが十字架にかけたのはユダヤ人だという俗説が出回り、差別を受けるようになりました。
18世紀には迫害も薄れていき、現代では多くのユダヤ人が活躍しています。中世ヨーロッパの画家は、その“悪魔性”を表現するためにユダを赤い毛にして描いたそうです。
好奇の目で見られて悪魔と結びつけられ、加えて表現豊かな筈の画家が分かり易く表現するために、差別する相手を赤い毛で描く…。
きっと赤毛をニンジン呼ばわりされたアンも怒るに決まってます。生まれもったものをそんな風に扱われて、良い気分になる人がどこにいるでしょう。
もっとも赤毛をもつ人が多いのは、スコットランド人で、次いでアメリカ人とのこと。
赤毛の人は痛みに…
黒でも茶でも金でもなく、赤という毛色の人は、科学者の探究心や好奇心をくすぶるようです。日々真実を知ろうとあくせくする科学者は、赤毛もその対象としました。
しかし、並行して行われた実験は、まったく正反対の結果を導きだしました。その矛盾はそれほど難しくなく、きっと子どもも首を傾げる筈。
クリーブランド・クリニック(オハイオ州にある非営利医療機関)は、痛みを感じやすく麻酔も効きにくいという発見をしました。
ところがマギル大学(カナダ最古の大学)の研究者は、赤毛のネズミや赤毛の人に行った実験で、痛みへの耐性が強く鎮痛剤の効き目が良いという結果を出しました。(痛みの耐性が強いのに、どのようにして鎮痛剤のそれを知ったのかはよくはわからないですが…)
そして驚くことなかれ、この奇妙な実験は昔のことではなく現代の話。赤毛限定のこの実験についての結果は出ていないのだとか…。
つまり、それは実験が続くということを暗示しているのです。