世の中にホテルは沢山ある。
お金を払えば部屋を借りられて、ご飯もでてくる。旅行や仕事で、便利且つ快適なところで疲れを癒す人もいるだろう。
しかし、借家や土地と同じく、そこは以前別の人が使用していた。
家を借りる時、土地を買う時、そこで何が起きたかとかは大体は知れても詳しくは知れないだろう。
ホテルも同じく、前の人がどんな風に使ったかはホテル側によって消される。それ故に清潔で過ごしやすい。
知らない場所で寝起きするのも、環境が変わるためにワクワクするものだ。
けれど、もしあなたにもこんなことが起きてしまったら、ホテルを心から楽しめなくなるかもしれない…。
友人の母から聞いた話。
友人の父が、大阪に出張に行った時のこと。家には友人とその母がいる状態だ。
その夜、父から電話がかかってきた。時間も日付が変わる頃で、こんな時間に電話?と珍しいなと思いながら母は電話に出たそうな。
電話はホテルの部屋からだった。
洗面台の方からカタカタと物音がして、地震かと思ったけど寝ている自分の体や周りのものは揺れていない。コップや歯ブラシなどのプラスチック製品が台に当たった時に出すような音だったそうだ。
しばらくカタカタと音がしていたが、ふっと消えた。
と思ったら寝ている体の上に黒いもやもやしたものがのっかってきて、息が苦しく身動きがとれなくなった。それは金縛りだった。
そして、こんなことがあったから電話した、とのこと。(金縛りからそのまま完全に起きたのか、それとも一度意識がなくなって目を改めて目を覚ましたのかは詳しく聞けなかった)
話を聞いた友人母は、部屋を変えてもらい、と言ったもののめんどくさいからいいわ、と言ってその部屋で一夜を明かした。
そんなことがあった友人の父の出張。
その数か月後、また大阪へ出張した時のこと。以前泊まったホテルはなくなっていたそうな。
この話、日が落ちた暗い空の下を走る車の中で聞いたんだよなぁ…。余計怖い。